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屍鬼/小野不由美

「お勧めの本を教えて下さい」とのテーマがあったので読書経験豊富という訳じゃないので恐縮ではあるけれど好きな本をお薦めしてみる。

屍鬼/小野不由美
屍鬼〈上〉屍鬼〈下〉
細かい字で上下二段、辞書ほどの分厚さとのボリュームで敬遠されがちだけど読み出すと止まらない、ホラー小説という枠に留まらない良作だと思う。人物の心理描写も細かくて登場人物それぞれがやけにリアルでそれが更に物語を濃くしている。
淡々とした描写が怖さに拍車をかけ、時々挟まれる主人公の小説である幻想的な文章にも味がある。ホラーといってるものの直接的な怖さというものは無い上、作品全体に漂う哀愁の所為か救いようの無い切なさが前面に出ている気がする。閉塞された村という舞台で夏の様子が描き出されているけれど感じるカラーはどこかモノクロ。色があるのは確かなのにその色が感じられない。とにかく読んでて涼しくなるのは確かなので夏に読むのが一番良いかもしれない。
あと、上下巻とあるけれど上と下ではいくらか雰囲気は変わっている。後半になって得体が知れない不気味な怖さは幾らか薄くなっている気はするけれど、別のベクトルの恐怖がじわじわと蝕んでくるのでそこは気にする所ではあまりないと思う。

私的に気になった言葉をいくつか。下巻はネタバレを含む場合があるので上巻からのみ

村は死によって包囲されている。<上巻>p3.上段L1

「死は誰にとっても酷いことなのよ。――知らなかったの?」<上巻>p260.下段L15

怖いとは思わなかった。ただひたすら不思議だった。想像することさえできない無というものが、明らかに存在することが不可解だ。<上巻>p523.下段L12

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